30~49歳男性の1カ月間における
非正規雇用から正規雇用への移行確率

30〜49歳男性の1カ月間における非正規雇用から正規雇用への移行確率出所:藤本・エステバン-プレテル「日本の労働力フローの実態」(「日本労働研究雑誌」2022年1月号)

 1997年の北海道拓殖銀行や山一證券の破綻に端を発する金融危機は新卒労働市場の急激な収縮をもたらし、就職氷河期を発生させたことが知られている。

 この世代のその後の労働市場の状態を、政府統計を用いて追跡した東京大学の玄田有史氏による先駆的な一連の研究は、学校を卒業した時点の影響が長期にわたることを明らかにした。

 それらの研究成果は玄人筋が購読する「日本労働研究雑誌」に掲載された「チャンスは一度」「溶けない氷河」といった絶妙なタイトルの学術論文を通じて広く世に伝えられることとなった。