岸田首相が強調する「賃上げ減税」、それでも賃金上昇が加速しない理由Photo:PIXTA

岸田首相は就任会見にて
賃上げ減税を強調

 自民党の岸田総裁は11月10日、衆参両院での本会議を経て改めて首相に選出された。その後、岸田首相は、同日夜の記者会見にて「給与を引き上げた企業を支援する賃上げ税制について、控除率の大胆な引き上げなど制度を抜本的に強化し、賃上げを後押しいたします」と述べた。

 岸田首相は、「岸田ビジョン」や「令和版所得倍増計画」において賃上げの重要性を繰り返し説くなど、賃上げ減税への思い入れは強い。今後は、減税幅拡大の議論が本格化するだろう。

 ただ、賃上げ減税というアイデアは新しい話ではない。じつは賃上げ税制は、アベノミクス開始当初の2013年から、「所得拡大促進税制」という名前で実施されている。

 同税制は、前年度の給与支給額の増加額に対して10%の税額控除が受けられるもので、2018年からは給与支給額の2%以上の増加を条件に控除が15%に拡大されている。さらに一定の教育訓練費を上乗せすると、控除は20%まで拡大される。