ロシアにとってエネルギーは、核兵器以外では最強の武器だ。それゆえにウラジーミル・プーチン大統領がこの武器を、ウクライナ侵略の脅しと並行して活用しているのは当然のことだ。気候変動対策に執着する欧州は、ロシアの攻勢に脆弱(ぜいじゃく)になっている。そこでバイデン米政権は、アラブ諸国や他のエネルギー生産国に対し、天然ガスの輸出拡大を懇願するという形で欧州の救済に乗り出している。ロシアは通常、欧州のガス輸入量の約40%を供給してきたが、それを大幅に削減している。ロシア政府当局者らは、米国と欧州が対ロ制裁に動けば、この供給を止めると警告している。ドイツは特にロシア産ガスへの依存度が高い。ドイツがウクライナの軍備増強への支援に消極的なのはそのためだ。