米国の「聞く耳持たず」 政治からワクチン論争までPhoto:SOPA Images/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 中間選挙の年に入り、米国民の論争の対象は単に政治だけではなくなっている。何について論争しているのかという点についてさえ彼らが合意できないことが一段と明らかになっている。

 政治絡みの暴力について論争したい人々のことを考えてみよう。左派の人々は即座に、暴徒が連邦議会に突入した2021年1月6日の事件を思い起こすだろう。右派の人々は、ジョージ・フロイド氏殺害事件を受けた2020年夏の暴動を例に挙げて反撃するだろう。

 次の論争点は選挙結果の受け入れ拒否だろうか。左派にとってこの問題が指し示すものは明らかだ。それは2020年大統領選挙の勝利が盗み取られたとするドナルド・トランプ氏の誤った主張だ。右派にとっては、2016年大統領選後に、トランプ大統領(当時)を政権の座から追放しようとした試みのことかもしれないし、2018年のジョージア州知事選で、民主党候補のステイシー・エイブラムス氏が敗北を認めなかったことかもしれない。