米政治が正常化するはずだった年Photo:Brandon Bell/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 米連邦議会占拠事件。学校閉鎖やワクチン接種義務付けを巡る激しい議論。カリフォルニア州知事のリコール(解職請求)の賛否が問われた住民投票。事態の膠着(こうちゃく)を招いた民主党の内紛。共和党のある有力議員に対しては下院で問責決議案が可決され、もう1人の共和党関係者は議会侮辱罪で訴追された。

 要するに、2021年に米政治が「正常化」するとの予測は見当違いであったということだ。

 それどころか、2020年の選挙で政治を揺るがした要因は、ほぼすべてが新しい年に持ち越された。新型コロナウイルス危機がバックミラーの中に消えていくことはなかった。ドナルド・トランプ前大統領と、選挙不正があったとする同氏の誤った主張も同様だ。そして、結束と超党派の復活という公約が果たされることもなかった――その結果生じる痛みを最も受けた指導者はジョー・バイデン大統領である。

 何より、今年の米政治は党派色の強い、文化・思想的な分断に他ならず、これが安易な決着を拒んでいる。民主・共和両党のいずれも自らの意思を押し通す力はない。一方で、思想の両極化が進み、歩み寄りが期待できる中道路線は空洞化した。

 そのため、2021年の政権運営も非常に厳しかった。

 とはいえ、何も成し遂げられなかったわけではない。米議会は3月、1兆9000億ドル(約216兆円)相当のコロナ救済策を可決。巨額の資金が供給され、景気浮揚を支援した。

 だが、今年の政界の基調を方向付けるかのように、この法案は党によって賛否が分かれ、民主党の票のみで可決された。コストの高さと支給対象の幅広さに不満を抱える共和党は支持することを拒んだ。