北京五輪が開幕した同日に米経済紙の『Forbes』が掲載した記事によると、今回の五輪では「91」の国と地域からアスリートが参加しているが、メダル獲得に対してお金が支払われると確認できている国は、少なくとも32カ国あるという。また、91カ国中4カ国に関しては、仮にメダルを獲ったとしても、それに対して金銭的な報酬はないとのことだ。

 金メダルに対して最も高い金額を設定しているのは、中国から独立して選手を派遣している香港の64万2000ドル(約7400万円)。続く2位のトルコは38万3000ドル(約4400万円)、3位のマレーシアは23万8000ドル(約2700万円)となっている。高額となっているが、いずれの地域の選手たちもこれまで冬季五輪では1度も金メダルはおろか、メダルすら獲得できていないのが実情だ。

 当然と言えば当然でどの地域もウインタースポーツが盛んではなく、送り出している選手の数自体も少ない。北京五輪では香港が3選手、トルコが7選手、前回の平昌で初めて選手を派遣したマレーシアは2選手のみ。日本からは124選手が参加していることを考えるといかに少ないかが分かるだろう。昨年の東京五輪ではフィリピン政府が同国初の金メダリストとなった重量挙げ女子のヒディリン・ディアスに1000万ペソ(約2200万円)を報奨金として授与したことが話題となったが、可能性の大小は別として、国家の史上初となる快挙に対しては、それに見合った大金を支払う準備があるという現れだろう。

 なお、香港選手団の金メダル獲得に対して支払われる報奨金は東京五輪でも同じ額が用意されており、男子フェンシングフルーレ個人の張家朗が香港代表としては史上2人目となる金メダルを獲得し、64万2000ドルを手にしている。

 金メダルの可能性がある国として最も高い報奨金を用意しているのがイタリア。今回の金メダリストには20万1000ドル(約2300万円)が支払われることになっている。前回の平昌では3人が金メダルを獲得しており、北京でも9日終了時点ですでに金メダリストが2人誕生している。イタリアは昨年の東京五輪でも“太っ腹”なところを見せており、金メダル10個、銀メダル10個、銅メダル20個と合わせて40個のメダルの報奨金として、総額で900万ドル(10億3000万円)以上をを支払ったようだ。

 その他、平昌で最も多くの金メダル(14個)を獲ったノルウェーは金メダルを含めメダリストに対して報奨金はないとのこと。平昌ではノルウェーと同じ14人の金メダリストが生まれたドイツも2万2000ドル(約250万円)と上位に比べて少ない金額となっている。また、女子フィギュアスケートで注目が集まるロシア(※北京ではROC/ロシア・オリンピック委員会として出場)と開催国である中国は、過去の五輪では報奨金は存在したとのことだが、北京については『Forbes』の問い合わせに応じておらず、金メダルに対して報奨金があるのかは明らかとなっていないようだ。