企画書や報告書では、メールやチャットよりもまとまった文章を書く必要があります。ただ、その場合もやることは同じです。長い文章だとしても、分解していけば一文一文の集まり。その一文が長くて複雑だと、文章全体を読み切るのはもはや苦行でしょう。しかし、一文を短くシンプルにできれば、劇的に読みやすく理解しやすい文章になります。
「一文を短くシンプルに」は、誰でも今すぐ「書く力」をアップできる文章術です。意識したことがない人は、ぜひ今日から実践してみてください。
自分が伝えたいことだけではなく
「相手が知りたいこと」を書く
達人たちが伝授してくれた中で今回お伝えするもう一つの文章術が「読み手を思う」です。
例えば他部署や他社の人に、自分の部署や社内でしか通用しない用語・略語を使った文章を書いていないでしょうか?「これくらいのことは知っていて当然だろう」という前提で、言葉足らずなメールやチャットを打っていないでしょうか?
読み手が何をどこまで理解しているのか、どういう言葉遣いでどんな情報を書けば適切か――。このような「読み手を思う」プロセスが欠けると、「伝わらない文章を書く、仕事ができない人」と相手に思われてしまいます。
これはプレゼンテーションや商談の提案書、社内の報告書でも同じことがいえます。そこで参考になるのがコンサルタントの文章術です。
アクセンチュアでマネジング・ディレクターを務めた後、経営コンサルとして独立した中野豊明氏の教えをご紹介します。
「ビジネスパーソンが書く文章は、自分が伝えたいことだけではなく、『相手が知りたいこと』が書かれている必要がある」。中野氏はそう説きます。そして、そのための手法として、マーケティングで行われる「ペルソナ」の設定を勧めています。
ペルソナとは、商品・サービスの典型的なユーザーである架空の人物像のことです。ユーザーの性別や年齢、家族構成、年収、趣味、職務上の立場などさまざまな属性を設定。そのペルソナに向けてマーケティングを行います。プレゼンの資料や商談の提案書を書く前に、これと同じことをして「相手が知りたいこと」に想像を巡らせるわけです。
相手がどんな課題を持っていて、自分は何を望まれているのか――。他人の頭の中をのぞくことはできませんが、「相手を思う」ことでその答えに近づくことができます。そして、その思考を経て書かれたものは「伝わる文章」になるのです。
メールやチャットであれば、メッセージを打つたびにペルソナの設定までしなくていいでしょう。ただ、相手の頭の中がどうなっているのかに少しでも思いを巡らせるだけで、一気に伝わる文章が書けるようになるはずです。