インターネット競売大手イーベイは、ペイパルではなくアディエンを選んだことにほとんど後悔がなさそうだ。どちらのデジタル決済企業も新型コロナウイルス感染拡大下で勢いづいたが、米国のペイパルとは異なり、欧州の巨人アディエンは経済活動が再開してもなお躍進している。アディエンは極めて好調な2021年通期決算の発表が好感され、9日午前の取引で株価が13%急伸した。純収入がほぼ5割増の10億ユーロに達し、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は57%増加した。経営陣は「持続可能な利益ある成長の見通しは損なわれていない」とし、株主の懸念払しょくに努めた。そうした見通しは、ペイパルの決断とは対照的だ。ペイパルは先週、利益見通しを引き下げ、成長戦略に背を向ける決定を下し、株価が急落した。サプライチェーン(供給網)の制約や、アディエンが提供する新しい決済システムにイーベイのビジネスが予想より早く移行したことなどが原因だとペイパルは説明している。