ヴァイオリニストでテレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとして活躍中の『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』著者・廣津留すみれさん。大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま現役合格したハーバードをなんと首席で卒業。その後、進学したジュリアード音楽院も首席で卒業した。すみれさんが学び、実践してきた「考える力」を事例やエピソードとともに、わかりやすく紹介します。

【ハーバード&ジュリアード】イノベーションに必要なたった1つの考え方とは?Photo: Adobe Stock

ちょっとした不満を解消することが
イノベーションの源泉となる

いま、世界中の起業家たちにとって、「イノベーションを起こす」ことが大きなモチベーションになっていることは間違いないでしょう。

イノベーションとは、シンプルにいうと、世の中に存在していなかった何かを生み出すことです。それが新しい価値の創造につながり、私たちの暮らし、そして社会全体を便利で豊かにしてくれます。

イノベーションとは、何気ない不満を解消したいという気持ちから始まるものだと私は思っています。課題解決のためにひたすら考え抜くこと以外、イノベーションを引き起こす方程式はないと思うのです。

まさしく「必要は発明の母」です。考え抜いた幾つかのピースが奇跡的なタイミングでハマった瞬間、庭の木からリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を発見したとされるアイザック・ニュートンのように、革新的な何かが閃くのではないでしょうか。

消しゴムつき鉛筆を発明したのは、ハイマン・リップマンというアメリカの画家だそうです。なんとそれは、日本がまだ江戸時代だった1858年のことです。

彼はいつもデッサンの途中で消しゴムをなくす悪いクセがあり、なんとかしたいと思って、鉛筆と消しゴムを合体させるアイデアが生まれたと言われます。消しゴムつき鉛筆は、画期的ではないという理由で特許が認められなかったそうですが、世の中を便利に変えてくれたことは間違いありません。

消しゴムと鉛筆のように、すでにあるものを組み合わせる発明法は、彼の名から「ハイマン法」と呼ばれています。不満は、大なり小なり誰にでもあります。いい換えるなら、誰にでもイノベーションを起こすチャンスはあります。

あとは掘り下げるか、掘り下げないかの違い。考えるか、考えないかの違いだと思うのです。

ちょっとした不満をそのまま放置していませんか?