ヴァイオリニストでテレビ朝日系『羽鳥慎一 モーニングショー』のコメンテーターとして活躍中の『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』著者・廣津留すみれさん。大分県で生まれ育ち、小・中・高と地元の公立校、塾通いも海外留学経験もないまま現役合格したハーバードをなんと首席で卒業。その後、進学したジュリアード音楽院も首席で卒業した。すみれさんが学び、実践してきた「考える力」を事例やエピソードとともに、わかりやすく紹介します。
脳のキャパシティは有限なので
不要な情報は
入れないようにしよう
人間の脳の容量は有限です。限られたスペースに余計な情報が入っていると、処理スピードが落ちてパフォーマンスが下がります。かといってパソコンやスマホのように「この記憶は不要だから削除しよう」と、システマティックにデータ量を減らせるわけではありません。
有効なのは、始めから不要な情報を頭に入れないようにすることです。ネットや雑誌に目を通すときは、まずは見出しでざっとスクリーニング。関心のない記事は素通りします。
ネットにはインパクトの強い見出しで読者の興味を惹きつける技に長けていて、中身をともなわない記事が大量にアップされています。見出しでちょっと面白そうだと興味をもった記事でも、安心はできません。リードまで読んで「見出しでは面白そうだと思ったけど、中身のなさそうな記事だな」と感じたら、そこで迷わず見切ります。
本当に興味深い記事だけ、本文まで読み込みます。
見出しだけなら、情報量は2キロバイト程度だとすると、本文まで読むと15キロバイト程度。細かい内容を忘れてしまったとしても、見出しや概要さえ覚えていれば、あとでググれば情報は見つかります。
これはショッピングと似ています。
気になったものを片っ端から買ってしまうと、部屋がモノであふれてしまいます。そこで、基本はウィンドウショッピングにして、「これぞ!」と思ったものだけお買い物。どうしても悩むものは、品番などをひかえておいて、後で探せるようにしておきます。
これと同じように、自分の興味を惹かない情報は、さっと眺めるだけにします。自分の仕事や人生に関わるものだとアンテナが反応した情報だけを厳選して、脳にインプットするのです。
このやり方なら不要な情報が、買ったまま一度も袖を通さない洋服のように居座る心配がなく、脳のパフォーマンスをいつも快適にキープできるでしょう。
「いる・いらない」「アリ・ナシ」をパッと判断するために、私は「アリ=1、ナシ=0」以外に「アリかも=0.5」という第3の道を用意しています。
アリ・ナシを判断すること自体に時間をかけてしまうと、その時間がムダになります。そう思ったら、頭の中の「アリかも」ボックスに放り込むのです。しばらく経ってから、「アリかも」ボックスを冷静になって眺めてみると、必要性を即断できる場合がほとんどです。
ショッピングでも「買う・買わない」が即決できない場合、「買いかも」ボックスにいったん放り込んで、1週間経ってもまだ欲しかったら、それは「買う」と判断します。ただ、1週間も経つと「なぜこの服が欲しかったんだろう?」と思って、買わない判断をするケースがほとんどです。
情報も、「必要かな?」と迷うものは、その後、だいたいは「必要ナシ」になる場合が多いです。
服も情報も、手に入れるのは簡単でも手放すのは難しいもの。すぐに「1」だと決め込む前に、一度保留ボックスに入れてみることをおすすめします。
本当に必要でない場合は、きっとすぐに忘れてしまうはずです。