英国ではインフレが高進する中、国民がここ30年で最大となる実質賃金の目減りに直面している。新型コロナウイルス禍からの景気回復の腰折れを防ぎつつ、物価上昇を抑制しなければならない中央銀行の試練が浮き彫りになっている。イングランド銀行(英中央銀行)は、賃金の伸びやインフレ、増税、手当ての変更を勘案した実質の平均所得が今年、2%減ると予想している。これは統計の収集を開始した1990年以降で最大の落ち込み幅だ。コロナ禍による景気低迷から完全脱却を目指す中で、実質所得の目減りが英経済全般の足かせとなる見通しだ。それでも、英中銀は過去3カ月に2度の利上げに踏み切り、追加利上げの可能性も示唆。アンドリュー・ベイリー総裁は、利上げしなければインフレ加速による経済の痛みはさらに悪化するとの「厳しいメッセージ」を国民に伝えた。
英実質賃金30年ぶり大幅目減り、インフレの痛み鮮明
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