奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 この生きづらい世の中で「よく生きる」ためにPhoto:123RF

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はじめに

 エピクテトスは、ローマ時代のストア派を代表する哲学者である。

 彼が生きた時代は、紀元1世紀の後半から2世紀の前半にかけて、ネロ帝からハドリアヌス帝に至る帝政初期、ローマ帝国が最大の版図に達し、空前の繁栄を誇った時代にあたる。

 もっとも、ストア派の出発点はそれより400年前、紀元前3世紀初頭のギリシアにさかのぼる。開祖ゼノンとその門弟(もんてい)がアテネ市内の中心部にある彩色柱廊(ちゅうろう)(ストア・ポイキレー)を舞台にして教授活動をしたことから、この名で呼ばれるようになった。自前のキャンパスや校舎を持たない、今でいえば「哲学カフェ」といったところだろう。

 ストア哲学は、論理学・自然学・倫理学を綜合(そうごう)した哲学体系を誇るヘレニズム哲学の主流であったが、紀元後ローマ時代に入ると次第に実践的な性格を強めてきた。「生き方の指針」を求めてやまない心ある人々に対して、時代を超えて様々なインスピレーションの源泉となり続けた、いわば古くて新しい思考法だ。