ひろゆきが語る「お金の知識より哲学のほうが重要」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

現在、テレビやYouTubeで圧倒的な人気を集める、ひろゆき氏。
24万部の大ヒットを記録しているベストセラー1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

稼ぐための知識は民主化する

――「何を学べばいいですか」というような質問をよくされると思うのですが、どう答えていますか?

ひろゆき氏:まず、その人が何を求めているかによりますよね。基本的に、そういう質問の根底には「今のうちに何を学んでおけば、あとでお金が手に入りますか?」という欲望が隠れていることがほとんどです。

 そういう人に対しては、難関資格とか簿記とか英語とか、って適当に答えとけばいいと思うんです。ただ、できるだけ僕は「お金を稼いでも幸せになれるわけじゃないよ」ということも伝えるようにしています。

――それは、どういう意図でしょうか

ひろゆき氏:お金を稼げたり、就職しやすくなる知識って競争率が高いですよね。すぐに役に立つということは、すぐに世の中に溢れるのと同じです。いわゆる、「知識が民主化して、コモディティ化する」というような話です。

 だから、「そもそもお金があっても幸せになれないよ」という哲学的な問いのほうが重要になってくるんです。お金と幸せを切り離すためには、哲学のような学問が必要になってきます。まあ、文学でも心理学でも、なんでもいいんですが、とにかくお金を稼ぐ技術ではない「考え方」の部分のことです。

――「お金がなくても何があれば幸せなのか」という軸を持ったほうがいいという話ですかね?

ひろゆき氏:そうですね。ハーバード大学の卒業生を追った75年以上にもおよぶ調査では、「結局、人間関係が安定している人」が幸せの条件だったようです。いくらたくさんお金があったとしても、休みの日に一緒に時間を過ごせる人がいないのは悲劇なわけです。

 そういう知識は、僕は心理学から学んだと思いますね。だから、「心理学や根幹の哲学のような知識を学んだほうがいい」というのが最初の質問の答えになりますね。

競争から降りて、真っ先にやるべきこと

ひろゆき氏:そもそも、これからの日本ではお金を稼ぎ続けるのは無理になってきますからね。そういう背景も理由としてあります。世界的に資本主義が進むことで、得をしていくのはどう見ても「中国」です。共産主義の皮を被った資本主義のカタマリですからね。見かけに騙されてはいけません。

 中国のように、国をあげて資本主義を推し進めると、個人の社会保障や生活は脇に置かれます。社会保障にお金を使うくらいなら、企業の研究開発にお金を回したり、海外から優秀な人を集めることにお金を使ったほうが、全体は成長しますから。

 その結果、製品価格はどんどん下がり、質はどんどん高まり、「安かろう良かろう」というモノが世の中に溢れていきます。

――そういう競争から降りるべきなんでしょうかね?

ひろゆき氏:そのほうが幸せではありますね。要するに、戦う場所や比べる数字を変えてしまうんです。お金が基準になっている限り、資本力のある国しか幸せになれないことになってしまいます。でも、そうではないですよね。

 それを、最初の話に紐づけると、「お金を稼ぐ経済や株の知識なんてあっても幸せにはなれない」ということです。それよりも、「誰よりもサルに詳しくなる」「公園の植物に詳しくなる」「マニアックなマンガやアニメに詳しくなる」という方向の知識のほうが、個人のレア度は高まります。

 でも、それって第三者がすすめるようなことではないですよね?「お前は今日から北欧家具について誰よりも詳しくなれ!」って、言われてやるような勉強ではないわけです。

 だから結局、「自分にとってどうしても気になるもの、好きなものを調べたほうがいい」という結論になります。そして、それがお金に変わるかどうかは気にしないことです。あなたにとって気になって気になって仕方がない知識こそが、あなたの哲学の部分ですから。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、24万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。