お金がないならまず頭を使う!
「5つの思考」とは?
お金もないのに設備なんか買えない、改善への投資なんてできない……
私自身も、その悩みに直面しました。
そして得た結論は、すぐに投資可能なお金があまりないなら、まず使うべきは経営者自身の「頭」だということです。
頭の使い方、思考の具体例の詳細は本をご覧いただきたいのですが、まず考える際のポイントを5つ挙げておくと、
(1)「100%」の改善はない
(2)設備投資に使う金額は?
(3)改善点の見つけ方4つ
〈1〉動線・モノの流れの一方通行化・単純化
〈2〉ムダな動きの排除・時間の最短化
〈3〉管理、チェックを最小化。インプットしない、確認しない事務作業
〈4〉新しい機械の導入
(4)経費カットはたいした改善にならない
(5)情報を集める
となります。
このうちいくつかは、この連載でも解説していきます。
決定的に足りないのは
経営者の「危機感」
前作『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか』を上梓した後、他社の経営者からアドバイスを求められる機会が増えました。
「どうすれば平さんのようにもうかる現場にできますか?」
「うちの現場を見て、アドバイスして欲しい」
――こんな依頼です。
実際にお目にかかると、おおむね共通して次のような悩みを聞くことになります。
●うちの業界は構造不況業種で……
●いい従業員がいなくて……
●お客が価格を下げてくるんです……
●新規の仕事が取れなくて……
●工場を見てアドバイスをしてください……
私のお答えは、やはり決まって次のようになります。
★新規事業を模索していますか?
★従業員より、自分がやるべきことをやっていますか?
★原価を下げる改善投資を考えていますか?
★新規のお客を取れる生産体制を整えていますか?
★整理・整頓・掃除、できていないですよね?
正直、これでは儲からないだろうな、とため息をつくばかりです。
私の本を見て、案外、どこにでもある、当たり前の、誰でも知っていることしか書かれていない、とおっしゃる方がいました。
それは正しい感想です。しかし問題は、どこにでもある、当たり前の、誰もが知っている改善を、持続してやったかやらなかったか、に尽きるのです。
「危機感」をもって、当たり前の改善を続けることができる経営者ならば、少しずつ、しかし確実に利益爆発へと近づけるはずです。
(本原稿は、平美都江著『なぜ、おばちゃん社長は「無間改善」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』から一部抜粋・改変したものです)
平鍛造株式会社前代表取締役社長。現在は株式会社インプルーブメンツ代表取締役社長。1956年東京都生まれ。1977年日本女子大学理学科を、父の看病のため中退し、父が設立した平鍛造株式会社に入社。工場のオペレーターや営業職を経て、1986年専務取締役就任。宅地建物取引士、CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を次々と取得。父の天才的な技術で製造される超大型鍛造リングにより、他の追随を許さない企業として急成長。その後、リーマン・ショックによる景気悪化などにより受注量が激減。型破りな父による強引な客先交渉が裏目に出て、2009年に廃業する事態に。会社存続の危機に追い込まれる中、代表取締役社長に就任し営業を再開。一度離れた顧客の信頼回復に努めつつ、数々の経営の合理化を進め、数年で業績を回復させる。2018年大手上場会社へ株式を90%譲渡するが、2021年6月まで代表を務める。その後、株式会社インプルーブメンツを設立し、代表取締役に就任。著書に、『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか――父が廃業した会社を引き継ぎ、受注ゼロからの奇跡の大逆転』(ダイヤモンド社)がある。