かんたんに増収が見込めない時代。手元に資金もなく、思い切った投資もできない。なかなか利益も手元に残りません。しかし、取引先ゼロ+キャッシュフローほぼゼロ+金融機関からの融資拒否という経営状態だった鍛造工場を引き継ぎ、わずか数年でもうかる体質に変貌させ、上場企業に100億円で売却した平美都江氏は、現場を安全に、快適にすればするほど、生産は改善、効率化できること、そして、改善や効率化に投資すればするほど会社はもうかり、手元に現金が残り、従業員の待遇も改善できると説きます。経営半生をつづって大きな反響を得た前著『なぜ、おばちゃん社長は価値ゼロの会社を100億円で売却できたのか』、悲惨な事故で肉親を失ったことをきっかけに安全投資を始め、やがて爆発的な利益をたたき出す経営ノウハウへと行き着いた『なぜ、おばちゃん社長は「絶対安全」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』に続き、第3作目となる『なぜ、おばちゃん社長は「無間改善」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』を上梓。
いったい、地方の工場をゼロからどうやって「利益爆発」体質に変換できたのか? 本連載では、平氏の考えと取り組みのエッセンスを抜粋・再構成のうえ紹介します。
お金があるから
改善に投資できるわけではない!
改善の結果、会社の株式を100億円で売却した私に、よく、こんなことを言う人がいます。
「ウチと違っていっぱいお金があるから改善できるんでしょう?」
「手元資金もないのに、改善に投資なんかできませんよ」
「改善より、受注を増やす方が先なのでは? 人手が余っているのに効率化したってしかたないでしょう?」
私は正直、こういう考え方の経営者は「バカ」だと思います。私は、儲かっているから改善できたのではありません。改善できたから儲かったのです。
私の著者第二弾「絶対安全」の連載でも述べたとおり、私は実の弟を労働災害事故で失った後経営者となり、痛恨の思いを胸に従業員の安全と快適さを追い求めた結果、会社の利益体質がどんどん改善され、もうかるようになりました。
そんな私にとっての原則は、至極シンプルです。
●安全に、快適にすればするほど、生産は改善、効率化できる
●改善や効率化に投資すればするほど会社は儲かり、手元に現金が残り、従業員の待遇も改善できる
技術力だけでなく、効率の高い取り組みが、世界中で良いパートナーを探している外国企業にも評価されるのです。
お金もなく、従業員もなく、受注もない状況からの再スタートを、経営改善から始めたからこそ、この結果があるのです。取引銀行は受注のない私に1円のお金も融資してくれませんでした。当時の状態を他人が見れば、無理せず、早く廃業した方がいいと言い出したに違いありません。
そんな状況で、どうやって、生産を素早く、止めず、無駄なくつなげるためには何ができるのでしょうか?