ロシアを国際舞台の中心へと押し戻し、ソ連崩壊の屈辱を晴らすことを20年にわたり虎視眈々と狙ってきたウラジーミル・プーチン大統領は、今回のウクライナ侵攻で最も大胆な手に打って出た。これは驚くべき賭けだ。プーチン氏は規模の小さい隣国に侵攻することで、西側諸国との関係途絶に直面している。西側はロシア経済に大きな痛みをもたらす経済制裁の発動に踏み切った。北大西洋条約機構(NATO)加盟国はすでに、東欧のメンバー諸国に軍装備と兵力を送り込んでおり、ロシアの行動を抑止する共通目標で一致団結する姿勢を強めている。欧州のシンクタンク・欧州外交評議会(ECFR)のカドリ・リーク上級研究員(ポリシー担当)は、「プーチン氏はロシアの国益よりも、自らの執着心を優先した」と話す。「だがこれにより、プーチン氏はウクライナ制圧の見返りとして、ロシアの経済発展や国際社会での立場、国内情勢の安定を危険にさらしている」