歴史はゆっくりと動きつつ、ある時点で加速する。ウクライナの戦争は、数日のうちに欧州の安全保障の地勢図を塗り替え、冷戦後の秩序を一変させ、ロシアを再び西側から切り離した。ロシアによる侵攻を受け、西側諸国とその同盟国は、空前の対ロ経済制裁を相次ぎ打ち出した。米国と欧州は予想外の結束ぶりを見せつけている。欧州連合(EU)は、ロシアがもたらす真の脅威に何年も及び腰だったが、ここ数十年に見られなかったほど迅速かつ果断に行動している。従来はロシアに対してハト派的だったドイツは、政策を急転換し、ウクライナ防衛のために軍事費の大幅増額と殺傷能力の高い兵器の導入を表明した。オラフ・ショルツ首相はこの侵攻を「われわれの大陸の歴史における分岐点」と呼んでいる。北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、同機構の東方で軍の駐留を強化する動きに出た。
「冷戦2.0」突入、ロシア侵攻で世界激変
有料会員限定
あなたにおすすめ