大阪湾内の埋め立て地「夢洲」大阪湾内の埋め立て地「夢洲」(大阪市提供)

土壌対策への公費負担790億円をめぐって批判が広がる、大阪府市のカジノを含むIR(統合型リゾート)計画。事業者に唯一応募したオリックスなど2社の企業連合が、東京ディズニーランド、ディズニーシーが自己負担で行ったのと同様の液状化対策を大阪市が公費で行うよう要望していたことが、市への情報公開請求で判明した。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

土壌汚染対策の公費負担には応じるも
液状化対策費には反発した市の港湾局

 カジノを含むIR(統合型リゾート)施設の整備を進める大阪市が、大阪湾内の埋め立て地「夢洲」の土壌汚染や液状化への対策の費用として790億円を負担すると昨年末に表明してから、批判の声が広がっている。

 ダイヤモンド編集部が市に情報公開請求して入手したこれまでの市役所内での会議資料によると、事業者に応募した日米の企業連合が「東京ディズニーランドの液状化対策が理想」などと要望していたことが分かった。

 IR計画に唯一応募した事業者は、米国のカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人とオリックスの2社による企業連合。2021年1月の市の会議で、港湾地区の管理を担う大阪港湾局が示した資料によると、夢洲の土中で見つかった汚染物質について、事業者側が「風評被害が出ないかが大きな懸念」「(土中の汚染物質の)含有量基準が『みなし不適合』となることで、舗装・覆土等が必須となり工事費用に影響」などと主張した。

「みなし不適合」とは、土壌汚染物質の有無を調査していない土地でも、汚染が見つかった土地と同じ土砂で埋め立てられた場合、同様の汚染があるとみなすということ。今回は地下鉄中央線延伸工事現場で汚染物質が見つかったため、IR予定地にも同様の汚染があると判断した。

 市側は「対応案」として、風評被害については説明を尽くすとする半面、「(みなし不適合の)土壌汚染に伴う追加費用については、事業者と協議の上、大阪市が妥当と認める金額を負担する方向で調整する」としていた。大阪港湾局は土壌汚染対策については当初から、財政負担やむなしと考えていた節がうかがえる。

 しかし同局は、液状化現象の対策への負担については反発した。