米クラウド大手3強の中で、炭素排出削減への取り組みが最も出遅れていたアマゾン・ドット・コムがここにきて本腰を入れ始めている。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、アルファベット傘下グーグル、マイクソロフトのアジュールで構成される世界クラウドコンピューティング「ビッグスリー」の間では、排出量の測定・削減を求める顧客の獲得競争が熱を帯びつつある。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者(持続可能コンピューティング)、デービッド・ミットン氏はこう指摘する。ごく最近までクラウド業者の炭素排出量に関しては「透明性が極めて限られていた」と言い、中でもアマゾンは「大きく水をあけられている」という。アマゾンは1日、AWSユーザー向けに炭素排出量の追跡ツールを導入した。この新たなツールでは、顧客の所在地や顧客が利用するデータセンターのグリーン電力使用比率に基づき、顧客の排出量を推定する。またツール導入前のデータセンター利用に伴う排出量に加え、同社のクラウドへと切り替えたことで得られる炭素削減量も算出する。