『あっ、命!』の人文字ギャグでお茶の間の人気者になったお笑い芸人、ゴルゴ松本。彼は全国の少年院をめぐり、人生を踏み外してしまった若者たちに、「『命』の授業」を行ってきた。コロナ禍で意気消沈気味の日本では、芸能人たちの自殺も続いた。昨年12月に著書『「命」の相談室』を上梓したゴルゴ松本は、こんな時代に何を伝えるのか。(聞き手/シード・プランニング研究員 長野 光)
いつか心臓は止まる
自分で止めるな
――本書のテーマは、ずばり、「『命』の授業」です。ここ最近は有名人の自殺が続きましたし、コロナ禍においてかつてないストレスに苦しむ人も少なくありません。今、生きることがつらい、いっそこの世を離れて楽になりたい、そんな風に考えている方々に、ゴルゴ松本さんはどんなことを伝えたいですか?
考え方を変えてほしいですね。いつか心臓は自然に止まるけど、自分で止めちゃだめです。自分も大切だけど、自分の周りに大切な人がいないか思い返してみてほしいのです。
「死にたい」ではなく「生きたい」へ、転がり落ちていく方向を逆に向けるんです。生きていく上で、とてもつらい状況もあれば、その逆もあります。良いとき、悪いとき、つらいとき、楽しいとき、いろいろあることを受け止め、その中で自分を成長させてほしいのです。
おなかの中にいた十月十日の間は、お母さんの内臓の一部として血液をもらいながら生まれる準備をしていました。そういう意味では、自分の命はお母さんの命でもあります。たくさんの人たちがずっと受け継いできた命や心、魂は、未来の誰かにもつながります。それを自分だけの人生で終わりにしてほしくはありません。
悩みや苦しみは人それぞれだと思いますが、戦後すぐの時代を生きていた人たちの方がずっとつらかったんじゃないかと思います。今は情報でも何でも手に入る時代で、選択肢がいくらでもあります。「多分、自分の周りが見えなくなっているよ」と伝え、もう少し目線を上げてほしいです。
――2011年から、およそ10年にわたり、ゴルゴ松本さんは少年院の若者たちに向けたボランティア活動を続けていますが、それはどのような内容なのでしょうか?