ハライチ岩井撮影:杉山和行

お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さんが原作を手掛けたマンガ『ムムリン』第1巻が、1月6日に発売された。偶然地球にやってきた宇宙人のムムリンと、小学生のコウタとの交流を描いたSFコメディだ。お笑いだけでなく、エッセイの執筆やゲームの原作・プロデュースなどマルチに活躍する岩井さんは、核心を突く発言で度々注目を集めている。岩井さんは、「ハッキリモノ言う人」として期待されることをどう感じているのか、また意見が対立したときに日頃実践している対処法について語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

モノ言う人が求められる風潮
「みんな先陣切る人を探している」

――主人公のコウタは、小学生ながらとても論理的で、誰にでも正論をぶつける様が痛快です。どこか岩井さんっぽさを感じるキャラクターですね。岩井さん自身もコウタのように、世間から「ハッキリ真実を言うこと」を期待されることも多いのではないですか。

ムムリン主人公のコウタは「ハッキリモノ言う」小学生 『ムムリン』(講談社)より
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 テレビ番組のスタッフから、「ズバッと言ってもらえますか」とか「どんどん毒吐いてください」とか、言われることはあります。でも、スタッフが言うから毒を吐くのって、「従っている」じゃないですか。それだと好き勝手言うことにはならない。矛盾が生じますよね。

 だから、そういう指示には従わないですね。思ったことを好きなように言ってくださいという指示にしか応えられない。(番組スタッフからすると)コントロールしにくいと思います。

――「ズバッと言ってほしい」というニーズがあるのはなぜだと思いますか。

 俺は、これはいけないことだと思っているんですが、みんな先陣切ってモノを言えないんですよ。意見を言っている人がいて、初めて「自分もそう思ってた!」と乗っかってくる。みんな先陣切ってくれる人を探しているんです。ただ、俺は自分が何か言ったときに「そうだそうだ」と乗っかってくる人は、ちょっと引いた目で見てますけどね(笑)。

 SNSもインターネットも匿名になるし、基本的に自分の発言に対して責任感がないんでしょうね。