――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター
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ロシアがウクライナに侵攻して2週間近くが経過するなか、悲惨な状況から三つの側面が浮かび上がってきた。まずはロシアの残虐性がさらに度を増していること。ウクライナが依然として感動するほど粘り強い抵抗をみせていること。そして西側諸国が戦闘の行方に影響を与える能力は、いらだたしいほど限られているということだ。
ウクライナは奇跡的にどうにか勝利を収めつつあるのかもしれないし、単にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が想定していたより緩慢なペースで敗北に向かっているだけかもしれない。いずれにしても、驚くほど迅速かつ結束してロシアに経済制裁を発動した米国とその同盟国は、ここにきてジレンマにとらわれている。ウクライナへの支援を拡充したい意向と、核武装した暴君と世界的な紛争を引き起こすリスクとの間で、板挟みになっているのだ。西側諸国は無力さと絶望のはざまに陥りかねない。
もちろん、ウクライナを助け、ロシアを抑止するための極秘の取り組みがすでに水面下で進行している可能性は高い。とはいえ、差し迫った問いは「さらにどのような選択肢が残されているのか」だ。先週末、有力な戦略思考家たちにこの問いを投げかけたところ、バイデン米政権が取り得る手段が幾つか浮かび上がった。