米国はベネズエラに対する石油関連制裁の緩和を検討しているが、十分な設備・体制が整っているとは言えないため、ウクライナ戦争を受けて急騰する原油価格を抑えられるほどの供給拡大は期待できない。長年にわたるずさんな管理や汚職、石油合弁事業の国有化によって、ベネズエラの原油生産量は1990年代の日量320万バレルから、20年は10分の1にまで落ち込んだ。現在、生産量は2倍余りの日量約80万バレルに増えたが、これは世界数十カ国で毎日生産される1億バレルの1%にも満たない。ベネズエラの石油産業に携わる、あるいは石油産業に詳しい関係者は、ベネズエラが米国への4大石油輸出国の1つだった頃の面影はないと語る。