米製薬大手モデルナは新型コロナウイルスのワクチンに関する特許権について、90以上の低所得国や中所得国ではこれを行使してワクチン生産を停止させることはしないとする一方、富裕国では特許権の行使を始める準備ができていると示唆した。同社は7日、高所得国で特許取得済みの技術を使用する場合は、知的財産権が尊重されることを期待していると述べた。また「商業面で合理的な条件」でこれらの特許に関するライセンス契約を富裕国と結ぶ意向も示した。今回の方針を受け、モデルナは同社の技術を使用している富裕国の企業と合意できない場合、特許侵害訴訟を起こす可能性がある。ただし、特許権を行使し始める時期に言及はしていない。モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「多くの人がわれわれの技術を過去に使ったか、もしくは使いながらワクチンを生産しているのであれば、エンデミック(特定の地域で普段から繰り返し発生する状態)に移行し、十分な量のワクチンが存在し、ワクチンの供給にも問題がない中で、なぜ発明に対して報酬が得られないのか理解できない」と述べた。