過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。

「予定調和がいやな人」がするべき、仕事のやり方とは?Photo: Adobe Stock

天才的なひらめきが必要なわけではない

別解は、天才的なひらめきを求めているわけではありません。

あなたが生きてきた過程における経験則や価値観、自分が燃えてくるもの、面白いと思ったことなどを組み合わせて生み出していくものです。一部の特殊能力を持った人の再現性のない思いつきではありません。

別解力は考え方や行動、それらを形成する基礎的な習慣で決まります。

後天的に努力して獲得できる力です。私自身も、学びや体験などによって別解力をいまでも磨き続けています。

1965年に初版が刊行された『アイデアのつくり方』で、著者のジェームス・W・ヤングはこう書いています。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」

半世紀以上前に「アイデアは天才のひらめきではない」と喝破した考え方は、いまでも色褪せずに生きています。

別解は才能ではなく、思考と行動と習慣に基づく要素の組み合わせである。これが、別解力の最大にして最重要のポイントです。

別解力で仕事が楽しくなる

別解によって圧倒的成果が出る、評価される、個性が出せる、自己肯定感が高まることで、仕事が楽しくなります。

鶏が先か卵が先かの議論かもしれませんが、別解によって成果が生まれるから仕事が楽しくなる人もいます。

反対に、成果を生み出すまでのプロセスに自己肯定感が反映されることで仕事が楽しくなる人もいます。

もちろん、自分の頭で考えることに苦手意識がある方は一定数いるでしょう。

しかし、結果が決まっている予定調和がいやな人や、権威や体制に押しつけられたものに抵抗する反骨精神がある人は、別解を生み出すことで自分の付加価値を感じることができます。

自分が考え、行動し、頑張ったら結果が変わる。そのほうが心が昂ぶりませんか?

私はそのタイプです。

別解が優れているのは、そのスパイラルに入れるからなのです。

(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)