安倍晋三自民党総裁は、26日の国会で第96代首相に指名され、第二次安倍内閣が発足する運びとなった。
今回の安倍政権の陣容を見ると、初登板のときの反省が随所に見られ、現在の自民党では最善で強力な体制を築いたと言ってもよい。
党役員と閣僚の人事から、新政権のいくつかの顕著な性格が読み取れる。
消費税増税が先送りになる可能性も
(1)景気回復、デフレ脱却を最優先課題とする布陣となっている。
少なくとも来夏の参院選までは「経済」に全力を傾注する。それが、首相と麻生太郎財務相の不退転の意向。「あれもこれも」と手を広げ過ぎて失敗した第一次安倍内閣での教訓だ。
ただ、窮極の財政金融政策には危険も大きい。大がかりな財政出動、際限のない金融緩和には強い反対論もあり、その成否の見通しも明らかではない。
おそらく、安倍政権が浮上するか、失速するかは「経済」の動向によって決まる。
(2)14年4月に予定される消費税増税の実施は先送りされる可能性が高い。
経済の司令塔となった甘利明経済再生担当相は、既に来年秋の消費税増税の実施確認後でも経済状態次第で増税を先送りすると明言している。
安倍首相は第一次のときも財務省と一線を画してきたので、今回はそれ以上に財務省のコントロールは効かないだろう。
麻生財務相も既に首相を経験しているので、財務省の思い通りにはならないはずだ。
谷垣禎一前総裁の党体制は、言わば増税シフト、財務省体制であったが、その勢力は総選挙を経て弱体化している。
代わって、安倍新政権は明らかに「脱財務省」体制となっている。