ロシアのウクライナ侵攻が、原子力発電の燃料として欠かせないウランの国際市場を揺るがしている。米国では国内生産の復活を目指す動きも出てきた。ロシアは原発向けのウラン濃縮で世界トップだ。だが、ウクライナ侵攻を受けた制裁措置で経済的に孤立を深めており、足元ではロシア産ウランを制裁対象に加えるべきとの議論も浮上している。こうした中、一握りの国が支配する世界の核燃料供給を巡るぜい弱性が浮き彫りになっている。米国のウラン主要産地であるワイオミング州選出のジョン・バラッソ上院議員(共和)は17日、外国産ウランへの依存は「断じて許容できない」として、ロシアからの輸入を禁止する法案を提出した。ウラン価格は侵攻開始以降、およそ3割高騰している。資源価格がほぼ全面高の展開になっていることに加え、公益企業が制裁による影響を恐れて在庫確保に奔走していることが背景にある。貿易協定に基づき、米国のロシア産ウランへの依存度は、国内原子炉の必要量の2割程度に抑えるよう上限が定められている。とはいえ、調達ルートの調整には数年かかる見通しで、ロシアに代わって迅速に穴埋めできる国はない。