写真:チマネ族の女性写真:チマネ族の女性 Photo Credit: Robin Mamany

 認知症の有病率が世界で最も低い集団は、南米ボリビアのアマゾンに暮らす二つの先住民族ではないかとする研究結果が報告された。研究者らは、「この結果はアルツハイマー病を予防する手段に関する、新たな洞察を与えてくれるかもしれない」と述べている。米南カリフォルニア大学のMargaret Gatz氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association」に3月9日掲載された。

 Gatz氏らは、今も自給自足で暮らしている先住民族のチマネ(Tsimane)族とモセテン(Moseten)族での認知症と軽度認知障害(MCI)の有病率を検討した。なお、チマネ族は約1万7,000人存在し、狩猟・採取や農作主体の生活で、生涯を通して身体活動が活発な暮らしを営んでいる。モセテン族は約3,000人存在し、チマネ族よりも非先住民が暮らす街の近くに居住。水道設備や医療サービスを利用可能な環境で生活し、学校もあって識字率が高い。

 これらの先住民族のうち60歳以上の高齢者に対して、トレーニングを受けたボリビアの医師と通訳らの研究チームが、ミニメンタルステート検査(MMSE)や文化に関するインタビューなどによって認知機能を評価。また、頭部CTを用いた画像検査も行った。