 写真はイメージです Phto:PIXTA
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帯状疱疹ワクチンは
心臓病、認知症、死亡リスクの低減にも有効
帯状疱疹ワクチンは中年や高齢者を厄介な発疹から守るだけではないようだ。新たな研究で、このワクチンは心臓病、認知症、死亡のリスクも低下させる可能性が示された。
米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部の内科医であるAli Dehghani氏らによるこの研究結果は、米国感染症学会年次総会(IDWeek 2025、10月19〜22日、米アトランタ)で発表された。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国では3人に1人が帯状疱疹に罹患することから、現在、50歳以上の成人には帯状疱疹ワクチンの2回接種が推奨されている。
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)の既往歴がある人に発症するが、CDCは、ワクチン接種に当たり水痘罹患歴を確認する必要はないとしている。1980年以前に生まれた米国人の99%以上は水痘・帯状疱疹ウイルスに感染しているからだ。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、数十年間にわたって人の免疫システム内に潜伏し、その後、再び活性化して帯状疱疹と呼ばれる痛みやチクチク感、痒みを伴う発疹を引き起こす。水痘への罹患経験がある人なら年齢を問わず帯状疱疹を発症する可能性があるが、通常は、ストレスにさらされ、免疫力が低下している50歳以上の人に多く発症する。
Dehghani氏らは、米国の107の医療システムから収集した17万4000人以上の成人の健康記録を分析し、帯状疱疹ワクチン接種者の健康アウトカムをワクチン非接種者のアウトカムと比較した。ワクチン接種者は接種後3カ月〜7年間追跡された。
その結果、帯状疱疹ワクチンの接種により、以下の効果が得られる可能性が示された。
・血流障害による認知症のリスクが50%低下
・血栓のリスクが27%低下
・心筋梗塞や脳卒中のリスクが25%低下
・死亡リスクが21%低下
Dehghani氏は、「帯状疱疹は単なる発疹ではない。心臓や脳に深刻な問題を引き起こすリスクを高める可能性がある。われわれの研究結果は、帯状疱疹ワクチンが、特に心筋梗塞や脳卒中のリスクがすでに高い人において、それらのリスクを低下させる可能性があることを示している」とニュースリリースの中で述べている。
研究グループによると、これまでの研究でも、帯状疱疹への罹患が心臓や脳の合併症を引き起こす可能性のあることが指摘されているという。専門家は、この新たな知見は、帯状疱疹ワクチンが帯状疱疹そのものだけでなく、それらの合併症の予防にも役立つ可能性があることを示唆しているとの見方を示している。
なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年10月20日)
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