第2弾として開発したのが、冒頭で触れた医療用ガウンだ。20年、医療用ガウンの不足を受け、「医療関係者が市販のゴミ袋を使ってコロナ患者対応に当たっているのを目にし、ゴミ袋メーカーとしての使命感から社員全員で開発プロジェクトを立ち上げました」と宮元氏。
着脱のしやすさに加え、感染リスク抑制のため、「首元が開かないように」「袖口を絞れないか」といった現場からの声を受け、いかにシンプルな設計で機能性を実現するか。そこで目を付けたのがキャリーカップで活用した熱溶着技術だ。
こうして着用時に頭や手の大きさに合わせて首元、袖口が必要な分だけ開く構造を実現。背面に縦1本のミシン目を付け、破って脱ぐことで裏表を返しながら、前身頃(まえみごろ)に触れることなく安全に廃棄できる工夫も施す。
さらに量産体制を完備し、1枚約50円という低価格を実現。県内外の看護協会や医療機関に採用され、21年度グッドデザイン賞では最高賞の金賞を受賞した。
コロナ禍の飲食店を支援
新たな包装事業も構想
●株式会社ミヤゲン 事業内容/包装資材の製造販売、従業員数/33人、売上高/8億5306万円(2021年度)、所在地/福井県敦賀市山泉7-15-3、電話/0770-21-0038、URL/miyagen8.co.jp
近年はレジ袋の有料化、テークアウト需要の増加などを受け、「環境負荷軽減に加え、小規模な飲食店を応援する事業も進めています」と宮元氏。店のロゴなどを印刷したテークアウト用レジ袋、ハンバーガーやコロッケなどの包装用耐油袋などを小ロットからネット注文できる「刷りエール(suriyell.jp)」事業を展開。
「印刷するだけでなく、デジタル技術を加味し、包装で店の宣伝やブランディングにつながるようなアイデアも構想中です」と言う。
商品を「包む」だけでなく、付加価値のある「装い」を加えた事業創出に注力する同社。新たな展開に期待したい。
(「しんきん経営情報」2022年4月号掲載、協力/敦賀信用金庫)