ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界のエネルギー価格の急上昇は、もちろん歓迎すべき類いの出来事には見えない。それはインフレ率を押し上げ、家計を圧迫し、ジョー・バイデン米大統領の支持率を大きく低下させている。しかしバイデン氏にとっては、良い面もあるかもしれない。エネルギー価格の高い状態が続けば、世界の化石燃料消費が抑制され、温室効果ガスを排出しないエネルギーへの転換が促進される可能性がある。同時に、ロシアへの制裁やロシア産品のボイコットに伴って、米国の石油・ガス生産者が市場シェアを拡大する道が整う。こうした流れは、気候変動の抑制と、米国の石油・ガス産業の支援の両方を実現する道を開くものになるかもしれない。