――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界のエネルギー価格の急上昇は、もちろん歓迎すべき類いの出来事には見えない。それはインフレ率を押し上げ、家計を圧迫し、ジョー・バイデン米大統領の支持率を大きく低下させている。  しかしバイデン氏にとっては、良い面もあるかもしれない。エネルギー価格の高い状態が続けば、世界の化石燃料消費が抑制され、温室効果ガスを排出しないエネルギーへの転換が促進される可能性がある。同時に、ロシアへの制裁やロシア産品のボイコットに伴って、米国の石油・ガス生産者が市場シェアを拡大する道が整う。