ロシアによるウクライナ軍事侵攻は既に、大半の米国人にとって、世界が以前より危険な場所になっているという警告になった。それを考慮すれば、ジョー・バイデン米大統領が28日に議会に提出した予算教書の国防予算案が現状に合っていないという点は、ひどい失敗とみなされるべきだろう。国防予算はインフレで足踏み状態であり、独裁者らに米国の弱みに付け込む隙を与えている。米国防総省は2023会計年度予算として7730億ドル(約94兆3700億円)を要求している。他の関連予算を含めると、国防支出は8130億ドルとなる。これは巨額に思えるかもしれない。そしてバイデン氏は、要求額が前年を大幅に上回っていることを強調している。しかし、インフレ調整後の国防総省予算が前年をわずか1.5%しか上回っていないことは、国防分野の当局者でさえ認めている。国防支出は依然、国内総生産(GDP)の約3.1%にとどまっている。この比率は、冷戦後の最低水準に近い上、今後さらに低下していくとみられる(下のチャート参照)。