ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻や天然ガス価格の急騰を受け、欧州のエネルギー輸入国がロシア産ガスからの脱却を図る中、アジア諸国が深刻な価格ショックに直面している。アジアの液化天然ガス(LNG)需要は既に大きな打撃を受けている。長期的に、その影響はさらに深刻化し、2025年までアジアのLNG需要の伸びが鈍化する可能性がある。これは、アジアの主要なLNG輸出国であるオーストラリアや、LNGに力を入れる英シェルや豪ウッドサイド・ペトロリアムなどの企業にとって、構造的な成長に逆風となる可能性がある。ただし、既存の販売契約の高価格がその打撃を緩和する助けになるだろう。この冬の打撃は既に相当なものだ。コンサルタント会社ウッドマッケンジーのデータによると、2022年1-3月期のアジア太平洋地域全体のLNG輸入量は、前年同期比10%減となった。中国、日本、インドのLNG輸入量はそれぞれ11%、14%、25%減少している。コンサルタント会社ライスタッド・エナジーによると、アジアのLNG価格は過去1年で約5倍に上昇し、3月下旬時点で100万BTU(英熱量単位)当たり34ドルに達したが、欧州の主要指標(100万BTU当たり39ドル)にはまだ追いついていない。アジアの一部の輸入国は戦争が始まる前から、欧州の価格高騰を受けて、輸入したエネルギーを欧州に融通し始めていた。ライスタッドのLNG市場担当バイスプレジデントを務めるシー・ナン氏によると、12月には約10のLNGカーゴがアジアから欧州に仕向けられた。
アジアのLNG需要冷え込み、25年まで続く可能性
既に相当な打撃を受けており、長期的にその影響はさらに深刻化も
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