多くの人に共通する悩み、それは「誰とも戦わずに好きなことで効率的に結果を出す方法があるなら教えてほしい」ということだろう。この悩みの解決法をいま話題のプロデューサー佐久間宣行が指南する本『佐久間宣行のずるい仕事術』がついに刊行された。「限られた時間」と「自分の得意」で付加価値を生み、ムダなことはやらずにコスパよく、戦わずしてラクして速く成果を出すための、佐久間流、力の入れ方、力の抜き方とは? 今回は本書の発売を記念し、特別インタビューを実施。1999年にテレビ東京に入社して以来、番組プロデューサーとしてさまざまな活躍をしてきた佐久間氏に、「チームの空気を悪くする人」を見分ける方法と、その対処法を聞いた。
(取材・構成/川代紗生、撮影/石黒幸誠)
「佐久間流チーム論」とは?
──今回の本で書かれていたことの中では、佐久間さんのチームマネジメント論が非常に印象的でした。上司としてはもちろん、一つの番組をつくるプロデューサーとしても、チームメンバーのモチベーションを上げるために試行錯誤してこられたのではないですか。
佐久間宣行(以下、佐久間):そうですね、僕は常々、「チームはリーダーを映す鏡である」と考えています。全く同じメンバーが揃っていたとしても、リーダー次第でチームの雰囲気は大きく変わる。全員が天才じゃなくてもいいものをつくれるチームもあれば、優秀な人ばかりが集まっているのに、ピリピリとした嫌な空気が漂い、結果が出ないチームもある。
番組作りも同じで、素晴らしい出演者のみなさんに集まっていただいても、リーダーであるプロデューサーが毎回、いい空気をつくれなければ、出演者の魅力を引き出すことはできません。
テレビ番組を制作する過程では、立ち上げのみならず、「どうしたら番組を継続させられるか」「終わらせないためにどうすればいいか」も考え続けてきたので、チームのいい空気づくりは特に重視していました。
──本に書かれていてとても驚いたエピソードだったのですが、佐久間さんのチームは一時期、メンタルの調子が悪い人や会社を辞めそうな人が送り込まれる「療養所」になっていたとか。
佐久間:ああ、はい(笑)。リーダーとして僕が一番気をつけていたのは、「リーダーである僕自身が、誰よりも本気で、誰よりも楽しそうに働く」ことでした。テレビ東京に入社して以来、たくさんの後輩やスタッフと仕事をしてきましたが、みんなのモチベーションを上げたいなら、これに勝るものはありません。
リーダーが明るく、フラットで、ムラがなければ、自然とチームの雰囲気はよくなります。「療養所」になっていたのも、きっとひたすら楽しい現場を見せることで、くじけかけた人もまた「がんばろう」と思えるようになったからじゃないかなと思います。