「不機嫌で周りをコントロールする人」への佐久間流対処法

──そういうメンバーがいるとき、佐久間さんはどう対処していますか?

佐久間:基本的に、そういう人の態度って変わらないんですよ。だから「相手を変えようとする」んじゃなくて、そういう態度は事前に「封じ込める」ようにしています。それが、これまで僕がチームマネジメントしてきて、誰も傷つかない、一番いい方法だったかなと思います。

──具体的には、どうやるのでしょうか?

佐久間:僕が実践しているのは、先手を打って「こういうことをするのは『ダサい』」という空気をチーム内につくって封じるやり方です。たとえば僕は、新しい現場に入るたびに「キレる人はキャパシティが狭い。仕事ができないこととイコールだ」と口に出しまくっています。「怒りで周りをコントロールしようとする人を、僕は評価しませんよ」というように、上司として評価の指標を事前に周知させておくわけです。

チームクラッシャーになりがちな問題児には「評価されたい」気持ちが強い人が多いので、そうやって事前に圧をかけておくと、平和な現場になりやすかったですね。

──なるほど。あらかじめ評価軸が明確だとチームメンバーとしても動きやすいかもしれませんね。

佐久間:何をすると怒られるのかわからず、予想外のことでいきなり怒鳴られると、チームがピリピリして、萎縮してしまいますからね。あともう一つ、本人を傷つけずに注意する方法としては、事前に「嫌なヤツ」の話を捏造するという手も使います。

「前の現場にはこんなことでキレた人がいて、本当にダサかったし困った」というような架空のエピソードをでっちあげて事前に伝える。架空の人物だから悪口じゃないし、誰かを傷つけることもないですしね。

──「みんなの前で直接怒られてトラウマになった」などの話もよく聞きますから、「こういう仕事の仕方はしないでね」と事前に伝えられると、誰も傷つかないのでいいですね。

佐久間:そうそう。逆に「架空の人物を褒める」というのもよくやります。「〇〇という番組は、スタッフ全員が楽しんでつくっているからうまくいっているんだと思う」「この間、別の現場でこういう人がいたんだけど、すごくいいなと思った」みたいに、自分が評価するメンバーのイメージをつくって共有する。

あと「リーダーが目指すところはあそこなんだな」とメンバー全員にプロジェクトのゴールを事前に把握してもらうことも大事だと思っています。メンバーはプロジェクトの意義や意味を理解し、「なぜ」それをやるのかの説明が腑に落ちないと、アクセルを踏み切れません。

リーダーの目標をチームの目標として共有できていないときは、やっぱり空回ってしまうんですよね。「なぜ」「どこに行きたいのか」の説明に言葉を尽くすこと。そうすれば問題児が出ることなくチームがまとまり、結果が出やすくなるように思います。

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