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スマートフォンの理想と現実

日本のテレビメーカーが意外や過去数年で一番元気!?
米国の好景気を背景に4Kテレビが賑わいを見せる
――ラスベガスCES会場から占う2013年【前編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第41回】 2013年1月10日
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明確な設計思想がうかがえる東芝の北米向けクラウドサービス  拡大画像表示同サービスの開発責任者、片岡秀夫氏・東芝プロダクト&ソーシャル・インターフェース部部長 Photo by Tatsuya Kurosaka

 ただそうした中、着実にステップを踏んでいるのが、東芝だ。昨年のCESでも、タブレットを使ったテレビ操作のデモンストレーションを行っていたが、今年は市場に本格投入すべく、「北米向けクラウドサービス」と銘打って、クラウド側の実装も施した統合的なサービスとして発表した。そしてそこには、明確な設計思想が見える。

 それは「コンテンツは人と人をつなぐかすがいであるべきであり、テレビはそれを提供するものである」というものだ。これは、同サービスの開発責任者である片岡秀夫氏(東芝・プロダクト&ソーシャル・インターフェース部・部長)の受け売りなのだが、コンテンツを介して、家庭内はもちろん学校・職場の友人・知人と会話を弾ませるのがテレビのミッションなのだとしたら、ネットを使ってそれを正しく実装するのが、スマートテレビの本来の役割である、という考え方だ。

 文字にすると、当たり前のことを言っているように見えるだろう。しかし言うは易しで、これをきっちりと実装しきるには、たとえば番組に関するメタ情報の大規模な取得や、それを用いた検索機能の提供、またそれをシームレスな形で遠隔共有できるシステムやインターフェースの設計等、多くの困難な課題を克服しなければならない。

 またそれらが実装できたとして、前述のように競合がうごめく市場で一定のポジションを得るには、マーケティング等も含めた様々な取り組みを、総合的に進めていく必要がある。必要となる要件をあれこれ考えていくと、まさに至難の業である。

 彼らがこの先、サービスをうまく展開できるのかは、まだ分からない。しかしバズワードとしてのスマートテレビのブームが去った後で、本質を追究したサービスが日本から発表されるというのは、テレビ受像器という産業分野の将来にとっても、大きな意味があるだろう。

 ここまで、テレビの話を中心に書いてきた。もちろん、本連載のタイトルは「スマートフォンの理想と現実」であることを、忘れたわけではない。ではそのスマートフォンが今年のCESではどうだったのか――やや紙幅が足りなくなってきたので、これは来週の更新で触れたいと思う。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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