一定の交通違反歴がある75歳以上の運転者に運転免許更新時の技能検査(実車試験)を義務付ける改正道路交通法が、5月13日から施行される。同日からは衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などの機能を搭載した安全運転サポート車(サポカー)の限定免許制度も開始。既に実施されている認知機能検査や講習と併せ、母子が死亡した「池袋暴走事故」のような惨劇を防ぐための事故対策が強化される。一方、検査で不合格となれば免許が更新できなくなり、交通事情の悪い地方の高齢者にとっては厳しい措置となる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
75歳以上の運転者による事故は
75歳未満の運転者の2倍以上
実車試験は起点日(免許有効期限に近い誕生日から160日前)から過去3年間に、11種類の違反が1つでもあった運転者が対象。自動車教習所や運転免許センターで実際に運転し、同乗する検査員の指示速度による走行、一時停止、右左折、信号通過、段差乗り上げなどの運転技能を採点する。
11種類の違反とは(1)信号無視、(2)反対車線へのはみ出し、逆走、(3)追い越し車線の通行、(4)速度超過、(5)禁止場所での横断、転回、後退、(6)踏切直前での不停止、(7)左折時に事前に左側に寄らない、(8)優先道路の進行を妨害、(9)横断歩行者の通行を妨害、(10)前方不注意、(11)携帯電話使用など「ながら運転」――である。