インドのナレンドラ・モディ首相は、目標に向かって黙々と努力するタイプではない。派手な宣言や熱狂的なスピーチの方が得意なことで知られる。最近の典型例は、4月末に開催された「セミコン・インディア2022」会合での演説だ。インドには半導体製造の中心地になる潜在性があるとモディ氏はアピールした。しかし、米国、ドイツ、日本などの先進国がすでにトップクラスの半導体メーカーから大規模な投資を集めている現状では、この目標には幾らかの謙虚さと忍耐が必要かもしれない。また、製造大国で、やはり世界的な半導体製造国となることを目指す中国とは異なり、インドには半導体の活況な国内市場がない。インド政府によると、インドの半導体市場は2020年に推定150億ドル規模だった。2026年には630億ドルに達する可能性があるという。世界標準から見れば規模が小さい。世界市場は2030年までに1兆ドルに達すると予想する業界幹部もいる。インドは現在、必要な半導体のほぼ全てを国外メーカーに頼っている。政府はこれまで、何度か国内の産業育成を試みたものの、失敗している。