中国の習近平国家主席は長年、ナンバー2の有力政治家である李克強首相(66)を蚊帳の外に追いやってきた。だが、ここにきて李氏は自身の強みを生かし再び表舞台にはい上がっており、10年近く不在だった政権トップの対抗勢力を形成する可能性が出てきた。中国経済が近年まれに見る不振にあえぐ中、李氏は西側の資本主義から距離を置き、かつ中国経済の減速を招いている措置を縮小するよう、習氏を促している。政府当局者や意思決定に詳しい顧問らへの取材で分かった。中国はこのほど民間テクノロジー企業に対する規制を緩和し、不動産開発業者や住宅購入者への貸出規定を緩めるとともに、習氏の「ゼロコロナ」戦略により中国の大部分がロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている中で製造業の生産を一部再開した。こうした動向は李氏の影響力によるものだという。