ウクライナ東部セベロドネツクにある葬儀場(遺体安置所)の地下室に26人の住民が身を隠している。近隣地域で激化するロシア軍とウクライナ軍の戦闘を避け、犬4匹、猫1匹と共に暮らしている。戦争に関する情報が得られなくなって1週間余りが経過した。それは、セベロドネツクを含めた東部ルガンスク州のウクライナ統治下にある地域で、携帯電話が通じなくなってからの期間だ。それ以前に電気や水道は止まっていた。食品スーパーなどの店舗が全て閉まったのはさらに2カ月以上前。その頃、ロシア軍の急速な進撃がセベロドネツクや近隣都市の周辺で止まった。「世界のニュースはおろか、市内に住む親戚がどうなったのかもわからない。誰もこの場所を去ろうとしない。ただ全員一緒に起床し、全員一緒に眠る。外は恐ろしすぎて誰もどこにも行かない」と、ある女性は語った。戦争が始まる前は電力会社で働いていたというが、現在はパンテオン葬儀場の地下室で夫や息子と一枚のマットに身を寄せ合っている。
包囲されるルガンスク最前線、地下に潜む住民
電気も水も止まり携帯電話も通じなくなった都市で、残った住民は地下に避難して戦争終結を願っている
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