ロシアが2月24日にウクライナを侵攻するまで、ワルシャワの至る所に散在する旧ソビエト連邦時代の防空施設の改修をエンジニアのラドスワフ・セクンダさんに求める人は誰もいなかった。この30年、防空施設は使われていなかった。戦争が差し迫っているように見えたときには、もはや過ぎ去った冷戦時代の遺物と化していた。ワルシャワのエンジニア協会の責任者を務めるセクンダさんは現在、電話の対応に追われている。ロシアの攻撃から身を守るため、自宅の防空施設を改修すべきかといった問い合わせだ。ポーランドと米国の当局者がロシアの将来のターゲットになるのはポーランドかもしれないと警鐘を鳴らすのをよそに、首都ワルシャワではその備えが整っていないように見える。未来の紛争に各自で備えようとするポーランド人の間では、軍事衝突への不安は声高には聞こえてこない。防空施設の復活は、ロシアがポーランドに化学攻撃もしくは通常攻撃を仕掛けてくる可能性を巡る不安が現に存在することを示している。だが備えに対する考え方はさまざまだ。