過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。

「できないことはやらないままにする人」と「根気強く訓練できる人」の決定的な差Photo: Adobe Stock

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私も、学生時代に起業していたころは、まったく思いつかずにライバルたちに後れを取って悔しい思いをしてきました。

そこで、毎日ビジネスアイデアを三つ考える時間をつくり、訓練を重ねました。

当初は本当に苦痛でした。いくら考えてもまともなアイデアが出てきません。

しかし、根気強く訓練していくうちにその時間が楽しくなり、1年もかからずにアイデアが次々と浮かぶようになりました。

ヒントにしたのは、ソフトバンクの孫正義さんです。

孫さんは、毎日一定の時間を考える時間に充て、必ずひとつはアイデアを出すことを続けられたといいます。

偉大な孫さんが毎日ひとつのアイデアを出したのであれば、凡庸な私は三つ出そうと決めて実行しました。ちょうど、家から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)までの通学時間が長いので、その時間を利用して電車のなかを考える時間にしたのです。

人間は、得意になると楽しくなるものです。次から次へとアイデアが湧き、それをノートや携帯電話のメモ機能に保存していきました。それが芸人さんの「ネタ帳」のようになり、ビジネスプランコンテストなどに出場するときには、そのネタ帳をもとにアイデアを練り上げていきました。

入学当初はアイデアが出せず、ライバルにリーダーの座を奪われていたものの、アイデアを出せるようになると自然とその役割は私に代わるようになったのです。

やがて、ほとんど私がアイデアを考えるようになりました。

起業家を目指すうえで、他の人に負けないビジネスアイデアを出せるのは強みとなりました。

(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)