中国では2年余りにわたる国境封鎖と長引く上海市のロックダウン(都市封鎖)を受けて、同市の中・高所得者を中心に海外移住を検討する動きが広がっている。その多くにとって、これまでなら考えられなかった選択だ。中国は新型コロナウイルス感染予防として徹底した封じ込め対策を実施する意向を改めて強調しており、世界との方向性のかい離が鮮明になっている。中国最大の経済都市、上海のある住民は、人気の高い同市の居住許可を取得する寸前まできていた。だが、6週間以上続く封鎖措置で、今では脱出の手だてを探っている。彼女は雇用主が本社を置く米国への移住を計画しているところだ。同じく上海在住のチェスター・ユーさん(26)は、中国が最初にコロナ感染急増に見舞われた2020年初頭頃から、外国移住を考え始めた。修士号の取得を目指している上海の大学から、安徽省の実家に帰省中にちょうど現地で封鎖措置が導入され、3カ月間も両親とともに居住区から出られなくなった。「まるで刑務所生活のようだった」と話すユーさん。「当時、中国がどこに向かっているのか予感していた」。
中国コロナ封鎖にしびれ、中間層が海外移住計画
ゼロコロナ政策への不満が背景、パスポートや手続きにはハードル
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