中国の強圧的姿勢から逃れるために
経済的依存度を下げることが不可欠

 中国が、韓国に対し強圧的な姿勢に出られる大きな要因は、前述の通り、韓国の中国に対する経済的依存度が極めて大きいからである。

 韓国の輸出はその4分の1が中国向けであるほか、サプライチェーンの面でも中国への依存度は大きい。そのため、中国との経済関係が損なわれると韓国経済は甚大な被害を受ける。

 こうしたことを背景に、中国は、韓国との関係で圧力をかけ続けてきた。韓国が在韓米軍にTHAADを配備することを許容すると、露骨に対韓報復を行った。

 THAAD配備に対する報復として、中国は2017年、韓国製品の不買運動や韓国への団体旅行禁止措置を行った。

 その結果、中国に進出していた韓国企業は苦境に陥った。

 ロッテは中国で展開するスーパー「ロッテマート」の大半が消防法を理由に営業中止に追い込まれた。また、現代自動車の中国での新車販売台数は、17年3月に前年同月比44%減となり、5月には一層悪化して同65%減となった。

 韓国観光公社によると、16年に806万人に達していた中国人入国者数は17年には416万人に半減、18年も468万人にとどまった。このため、韓国政府は過度な中国依存度を減らす努力を続け、18年の訪韓外国人は1500万人とTHAAD報復前の90%水準にまで回復した。とはいえ、中国人入国者の減少により「THAAD配備前より売り上げが70%減った」という化粧品店もある。

 前任の文在寅政権は親中姿勢を鮮明にしてきた。「安保は米国、経済は中国」を重視するとし、米中間で中立姿勢を堅持してきたが、その実態は安保でも中国に対する配慮がにじみ出ていた。文在寅政権が継続していれば、韓国はますます中国の言いなりになる国になっていたであろう。

 しかし、中国は、韓国が最も重視する北朝鮮の問題についても北朝鮮寄りの姿勢を取り続けており、北朝鮮の核・ミサイル開発を黙認する結果となっている。こうした中国との関係を是正するためには、中国に対する経済的な依存度を下げていかざるを得ない。

 その第一歩がIPEFへの加入である。