米韓首脳会議では
韓国のIPEF加入が焦点に

 21日に予定される韓米首脳会談では韓国のIPEF参加問題が核心議題になるものとみられる。一部ではバイデン大統領が20~24日、日韓歴訪を契機にIPEFの公式発足を宣言するだろうとの分析もある。

 ただ、韓国の外交部関係者は、より正確には「IPEF発足ではなく、発足の議論を行う協議体の始まりになるだろう」とし、「公式発足時期と参加国、内容などは、その後の議論を経て確定する」と述べている。

 こうした発言の背景にあるのが、環太平洋パートナーシップ(TPP)参加へのバイデン政権の慎重な姿勢だ。

 トランプ前大統領は自由貿易協定の雇用に与える悪影響を懸念し、TPP脱退を宣言した。バイデン大統領も、今秋に中間選挙を控える中、IPEFは関税の引き下げなど市場開放は目指さず、議会の批准を必要としない行政命令の形式を考慮しているとされる。このため東南アジア諸国にはIPEF参加のメリットが少なく、交渉の難航が予想されている。

 米国は当初、12~13日の米・ASEAN特別首脳会議でASEAN諸国に対しIPEF参加を最大限説得した後、今月末開かれるクアッド首脳会議後参加国を発表するシナリオを描いていた。実際、米国はマレーシア・インドネシア・ベトナム・タイを含む計11カ国に参加の提案をしたとみられるが、東南アジア諸国のほとんどが第1次署名国には含まれないものと予想されている。

 こうしたことから、IPEFが順調に発足するかは予断を許さない。