大学は「進学価値700万円」の割に合わない教育投資?賃金差では取り返せない進学費用Photo:PIXTA

日本は学歴社会か?
大卒と高卒の生涯所得の「真実」

 日本は学歴社会だとする見方が多い。その根拠は、学歴によって生涯所得に大きな差があることだ。賃金構造基本統計調査によると、高卒と大卒で年収に100~150万円程度の差がある。

 40年余り働くとして、生涯では4000~6000万円程度の差が生じる計算だ。退職金や年金の差を考えれば、差はもっと大きくなるだろう。

 こうした認識に基づいて、どんなに無理をしても大学進学すべきだとの意見や、学歴がないと、いくら実力があっても安い給与に甘んじざるをえないのは不公平だから、実力主義の報酬体系に移行するのが望ましいという声がよくあがる。

 だが、このような事実認識は適切なものだろうか。

 まず注意すべき点は、賃金の違いをもたらす真の原因が、本当に学歴なのか否かだ。