新興国市場は次の危機に直面するかPhoto:Mario Tama/gettyimages

 18日に急落した米株式市場は、多くの投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)の新たなインフレ抑制策から大きな影響を受けることを改めて浮き彫りにした。新興国の経済への影響について考えてみると、新興国は他地域の政策の誤りでしばしば危機に見舞われており、今も新たな危機が発生するリスクに直面している。

 根本的な問題は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の際、FRBをはじめとする中央銀行が金融の超緩和政策を実施した結果生じた莫大な資金の流れだ。中銀は、投資家がより大きなリスクをとって投資利益を追求することを望んだが、最も大きな利益を獲得できるリスクには、途上国への投資が含まれていた。投資資金は南アジア・東南アジア・南米・アフリカにあふれた。

 投資利益を求める外国資金は借り入れコストの低下をもたらし、新興国の政府が債務比率を対GDP(国内総生産)比でパンデミック前の平均52%から67%へと押し上げることを可能にした。途上国経済の民間部門もまた債務を拡大し、国際金融協会(IIF)が18日に発表した報告によれば、これら諸国の家計部門および非金融企業の借入額は過去1年間で新たに5.8兆ドル(約7433兆円)増加した。