アナ・バルジツカヤさん(32)は最近カザフスタンに渡り、欧州サプライヤーの現地部門と協議し、アジアから製造設備を購入していた。産業用接着材やボールベアリング(玉軸受け)、フィルターシステムなどの在庫が枯渇しつつあったためだ。
ボルガ川沿いのサマラ市に拠点を置く製造設備販売会社テクノビータは目下、存続をかけて必死に闘っている。バルジツカヤさんの次の訪問場所はキルギスだ。
「誰も努力をやめていないし、あきらめてもいない」と話すバルジツカヤさん。「提供する製品の質は低下する一方で価格は上がり、その結果、物価にも影響を及ぼすだろうが、雇用はまだ維持している」
ウクライナ侵攻に伴う西側の制裁を受けて、ロシア企業が新規サプライヤーの確保や必要な製品・工程の変更を急いでいる。荷主はルートを見直しており、輸入業者にとっては遅延が頭痛の種だ。
バルジツカヤさんは「戦争は悪いことで人が死んでいる。だが、私たちがこれにどう影響を与えられるというのか」と問いかける。「われわれは働いて、家族を養わなければならない。全員を満足させるよう、誰もが対処の方策を見いだそうとしている」