東京ディズニーランドなどのテーマパークを運営するオリエンタルランドは、コロナ禍の21年3月期に最終赤字に陥っていたが、22年3月期は一転して黒字化した。背景には入園者数の増加や客単価の上昇といった要因があるが、実はそれ以外に営業利益を押し上げた“カラクリ”が存在する。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
コロナ禍でも営業黒字化したオリエンタルランド
決算書の特徴は?
今回は、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーといったテーマパーク事業などを手掛けるオリエンタルランドの決算書を見ていこう。
コロナ禍で休園や入場制限を余儀なくされる中、オリエンタルランドの2021年3月期連結決算は営業損益で約460億円の赤字、当期純損益で約540億円の赤字を計上したが、22年3月期は一転して黒字に転換した。その理由とは何だったのか。
まず、オリエンタルランドの決算書に見られる特徴を押さえた上で、事業環境と同社の施策の両面から分析していこう。
以下の図表は、同社の22年3月期の決算書を図解したものだ。
貸借対照表(B/S)から見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)において、最大の金額が計上されているのは有形固定資産(約7200億円)で、資産全体の約3分の2を占めている。
これは、オリエンタルランドがディズニーランドやディズニーシーといったテーマパークや、東京ディズニーランドホテルやホテルミラコスタといったホテルの建物、土地などの有形固定資産を保有しているためである。