これまでと違う円安局面、企業は金利抑制より「円安阻止」のほうが重要Photo:PIXTA

 円安の進行を阻止するには長期金利上昇を容認する必要があるが、そうすると経済に悪影響が及ぶという意見がある。金利が上がれば企業の設備投資が抑えられ景気が下振れする懸念があるというわけだ。

 だが大企業などの設備投資の原資は、アベノミクス以降の円安で急増した利益剰余金でまかなわれている。

 今回の円安局面では企業は輸入コストの上昇を完全に価格転嫁ができて収益を確保できるかどうかは疑問だ。

 したがって円安の阻止が企業の立場から見ても必要なのだ。

増えた設備投資の原資は
借り入れより圧倒的に利益剰余金

 金利が上がると経済に悪影響が及ぶという意見は、それによって設備投資資金の借り入れが減るという認識に基づいている。

 しかし、そうはならないと考えられる。

 理由はつぎのとおりだ。